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"大切な人''
自分で言った
言葉に照れてしまう私。
草壁主任のことを
考えるだけで無意識に頬も緩んでしまう。
「……ふぅん。彼氏?」
「……彼氏、じゃないけど、私にとって大切な人なの。」
草壁主任は
私の彼氏じゃないし
私のモノでもなければ他人のモノ。
それでも
草壁主任は私にとって
かけがえのない大切な人に変わりはないから。
「ってことだから、私、仕事しなきゃ。梶くん、邪魔しないでね。」
彼との時間のためにも
与えられた仕事を片付けなきゃ。
よしっ、と
小さく意気込み
赤マルされた修正箇所へと目を向ける。
「……大切な人、ね」
*
「すいません、お待たせしました!」
「いや、俺も今来たところだから。それより、ほら、座れば?」
約束の
時間に間に合わずに
遅刻してしまい
平謝りをする私をよそに
優しい草壁主任は
いつもと変わらない笑顔で
自分の隣へと座るように促してくれた。
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