好きな人がくれる魔法の言葉

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私の 言葉と態度に 梶くんは 仕事をしていた手を止め 無言のまま ジッと私のことを見てくる。 「な、なによ……」 そして しばらくの間無言で 私のことを見つめていたかと思えば おもむろに 立ち上がった彼は 私の元へとやって来て なにも言わずに私との 距離を一気にグンっと縮めてきた。 「ち、近い……」 いきなりのことに 彼との 距離を開けるように 彼の 胸辺りを押して 彼と私の間に 距離を作ろうとするけれど 離れても離れても 彼は私との距離を縮めてくる。 「か、梶くん……?」 「……本気で言ってンの?」 「え?」 「俺がお前だけに意地悪する理由……本当にわからない?」 私の頬へと そっと触れながら 真剣な声色と表情で 私へとそう聞いてくる梶くん。 「……わ、わからないから聞いてるんじゃん。」 射抜くような 瞳で見つめられて 思わず彼から 視線を逸らしながらそう答える。 「だったら考えろよ、その意味を」 「考えろって……」 .
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