好きな人がくれる魔法の言葉

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考えても わからないから こうやって聞いてるのに…… 椅子に 座っていて 普段よりも身長差のある 彼のことをジッと見上げ見つめる。 「……なあ。それ、ワザと?」 「え?」 「それとも、誘ってンの?」 「へ?」 「だったら、その誘いにのってやってもいいけど?」 さっきから 梶くん、何言ってるの? ……と、言うよりも 梶くんの ムダに整った顔が 私へと近づいてくるんだけど…… 「えっ、ちょっ、か、梶くん?」 頬に 添えられていた手は いつの間にか 私の顎へと移動していて 彼の手によって クイッと顎を持ち上げられていた。 「あ、あの」 「江藤」 短く 名前を呼ばれ 強制的に 梶くんと視線を合わせられ 突然のことに どうしていいのかわからずに 咄嗟に 目をギュッと瞑れば 聞こえてきたのは クスクスと笑う梶くんの いつもの悪戯で人を小馬鹿にした笑い声。 「バーカ、しねぇよ。」 「へ?」 「まあ、お前がどうしてもしてくれって言うならしてやってもいいけど?」 「……っ、最低っ!!」 彼の頬を 思いっきり叩き 逃げるようにして 私はそのまま部署を後にした。 .
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