686人が本棚に入れています
本棚に追加
「失礼しました」
領収書を
経理課に提出し終え
自分の
部署へと戻っていると
ポケットの中でスマホが震える。
「……あっ」
画面を
確認すれば
梶くんから
メッセージが届いていて
それだけのことで
単純な私の表情はだらしなくも緩んでしまう。
けれど
届いた
メッセージを見るなり
私の表情は一瞬で笑みが消え暗くなる。
「……今日は会えないのか……」
実は
彼の仕事が
早く終われば
今日も会おうと約束していた。
でも
その約束も
どうやら次回へ持ち越しだ。
「江藤さん」
名前を呼ばれ
振り返れば
そこには主任がいた。
「さっきのメモ、見てくれた?」
「あ、はい……」
「じゃあ、返事聞かしてくれるかな。」
見惚れてしまうほどの
眉目秀麗な容姿の持ち主の主任は
言わずもがな
女子社員からかなりの人気で
主任の彼女の座を
虎視眈々と狙っている女子社員は数知れず。
そんな
雲の上のような
存在の主任から
食事に誘ってもらえるなんて
私なんかには本当に
勿体無いくらいのお誘いなんだけど……
「……主任のお気持ちは有り難いのですが、すみません……」
.
最初のコメントを投稿しよう!