指輪に込められた彼からのメッセージ

9/18
632人が本棚に入れています
本棚に追加
/346ページ
たしかに 神部さんの言ってることは 正論だと思うし間違ってないと思う。 けれど 私には どうしても ほんの少しの勇気が 出せなくて前に進めなくて。 それは 間違いなく 私の弱さゆえの結果だ……。 「会いたい時に会えない。声が聞きたい時に聞けない……相手にワガママすら言えない。」 「……」 「これで付き合ってるって言える?江藤は心の底から幸せだって胸を張って言える?」 神部さんの言葉が 弱虫な私の背中を 優しく押してくれて勇気をくれた。 大好きな人がいて ちゃんと その人と両思いで……幸せ。 でも 心の底から 胸を張って幸せだとは言えない。 考えてみれば 私はまだ彼に ありのままの自分自身をさらけ出せていない。 彼の 顔色を伺い 正当な 理由を見つけては 自分のキモチから 目を背け逃げてばかりだ……。 「……江藤、たまにはワガママ言って甘えたっていいんだよ。」 「……私……今日、梶くんの家に行ってみる。」 「ワガママ言って甘えなさい、会えなかった分。きっと、相手もアンタと同じキモチよ。」 .
/346ページ

最初のコメントを投稿しよう!