685人が本棚に入れています
本棚に追加
この世の中には
数えきれないほどの人がいる。
それなのに
どうして私は
アナタしか見えなくて
アナタ以外に心動かされ
アナタ以外を
好きになることができないのかな-------
「まーた、見てる」
「っ!?」
仕事の手を止め
ぼんやりと
ある一点を見つめていると
ふとどこからか
そんな声が聞こえてきて我にかえる。
「アンタ、見過ぎ」
「……いいでしょ。別に見るくらい、誰にも迷惑かけてないもん。」
私のことを
なかば
呆れた表情で見ながら
やれやれと言わんばかりに
首を左右に振る同期の神部弥生(カンベ ヤヨイ)
「たしかに、江藤の場合は誰にも迷惑かけてないかもしれないけどさ、いい加減彼のこと……諦めたら?」
「……諦めるなんて、無理だよ。だって、好きなんだもん。」
小さな声で
そう呟きながら
ふたたび彼へと視線を向ける。
どれだけ想っても
どれだけ好きでも
けして報われることのない
そんな恋を私はもう、ずっとしている。
.
最初のコメントを投稿しよう!