嘘で塗り固められた私の日常

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「江藤、ちょっといいか?」 「はい」 名前を呼ばれ 彼の元へと行けば バサッと置かれた書類の束。 それは 今朝私が主任に 確認してもらうべく提出した仕事の書類。 「入力ミス赤マルしといた。急がないから、もう一度ゆっくり確認して再提出して。」 「はい、すいません……」 「クスッ、そんな落ち込むなって。間違いや失敗は誰にでもあるんだからさ。次、また同じ失敗を繰り返さなければ問題ないよ」 「草壁主任……」 ミスして 落ち込む私の頭上へと ポンッと 優しく置かれた 大きくてあたたかい手と 私を励ます草壁主任の優しい言葉。 「わかったか?」 「はいっ!」 「じゃあ、あと頼んだぞ。」 私へと そう言い 午後から 始まる会議に出席するために 部署を出て行く 草壁主任の背中をそっと静かに目で追う。 .
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