嘘で塗り固められた私の日常

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「主任って、鈍感よね。」 「え、どうして?」 「だってさ、これだけわかりやすく江藤が好き好きオーラ出してるのに気づかないなんて」 ……そう。 彼、草壁主任こそが 私が恋い焦がれている相手。 けれど 草壁主任には 学生の頃から 付き合っている恋人がいるから どう足掻いたところで 私がそこに入り込む余地なんてないの。 「……いいの、これで。」 「は?全然良くないでしょ。江藤、アンタね」 「私はね、草壁主任のこと困らせたくないし、それに何より今の関係、壊したくないの……」 私と草壁主任は ただの職場の上司と部下。 でも それは 職場だけで仕事を終えて プライベートな 時間になればそれは変わるから。 「……で。今日も、なの?」 「うん。仕事が終わったら、いつもの居酒屋さんで待ち合わせしてる。」 「はーっ、アンタって本当、救いようのないお人好しと言うか、バカ真面目って言うか」 盛大に ため息をつきながら 力なく 自分のデスクへと座りながら 私へと哀れみに似た視線を送ってくる神部さん。 .
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