嘘で塗り固められた私の日常

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「神部見ろよこれ。この入力ミスとか、ウケるんだけど」 「もーっ、書類、返してってば!!」 私よりも はるかに背の高い彼から 書類を取り返すべく ぴょんぴょんとその場で飛び跳ねる。 けれど 彼は そんな私のことを 適当にあしらいながら 私の入力ミスを大きな声で読み上げていく。 「お前さあ、こんなミス、今時新人でもしないぞ。」 「う、うるさいなぁ……もう、ほっといてよ。」 あの時は ただただ 草壁主任に頼まれた仕事を 少しでも早く仕上げたくて その結果、最終確認を怠ってしまって。 悔しいけど 梶くんの言う通り 今時新人でも こんな初歩的なミスしないよね……。 「最終確認くらいしろよな。」 そう言いながら ポンッと私の頭の上へと さっきまで返してほしくて たまらなかった書類を荒々しくおかれた。 「……わかってるわよ。次からは気をつけるわよ。」 たしかに 今回の件に関しては 完全に 自分に非があるし 自分が100%悪いとわかっていても それでも 梶くんの言葉に 少なからずもムッとしてしまう。 .
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