目覚め

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 その光景を目に映した瞬間、ゾワリと身体中が粟立った。  まるでゲームの中の男鬼討伐戦を再現しているかのようだ。統率が執れている分、入り乱れるような動きはない。  だが、ここはゲームと同じ世界仕様であったとしても、私の現実でもある。  私の記憶がそう伝えてくるのだから。  男鬼は仁王立ちのまま、白紙に墨で呪印が書かれた札を、ベタベタと貼られ封呪された。やはり倒すことはできないらしい。  私がなぜ男鬼に狙われているのか、わからない。心当たりもない。思い出せていないだけかもしれないが。  聞けばつけ狙われる原因とも言われる特殊なアザが私にあるからだと聞いた。それは、産まれたときからある牡丹のアザのことだろうか。ただ、聞いた人たちにアザの形状を知っているものはいなかった。  そのアザを持つものは、最凶と詠われる狂戦士の男鬼に一生涯狙われ続けるという。   えーと、何それ。初めて知った仕様なんだけど? それ、どんな罰ゲーム? そんなストーカーいらないから。  ゲームでわかることといえば、男鬼の襲撃、神出鬼没、レジェンド討伐戦の敵、封印することで被害を抑える、男鬼というくらいだから男。実際鬼だが真っ白い袴を来た姿。  この世界の鬼は魔の物としてよく出没する。  男鬼はどうなのかと問えば、最凶だが男鬼が封呪された後の街は、百鬼夜行や悪鬼の類いは男鬼がいる限り一切やってこないのだという。
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