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今回の戦いでは、いきなり現れた男鬼によく耐えたと労う面々に私は大いに照れながらうつむいていた。
もちろん、雷神と風神は召還しており、今はいない。
今回は定期的に視てもらっている、占術屋から復活するまでの時間がわかったので対処出来たが、距離を無視して牡丹のアザを持つ者の側に現れ、殺そうとするらしく阻止できない方が多いと聞いた。
男鬼は牡丹のアザ持つ者を執拗に狙いながらも、その者が死ぬと、狂ったように全てを破壊し尽くしながら、封呪されるのを待つのだ。
再び牡丹のアザを持つ者が現れるまで眠る殺戮者。老いもしなければ、死ぬこともない。しかし、牡丹のアザを持つ者は、老いもするし、病気にもなる。
ただ、その者の周囲にはなぜか富や名声をもたらす。だからこそ、私は売られ籠の中の鳥として生きている。
牡丹のアザを持つ者が出現する謎。
男鬼の存在。
少年の頃の私がプレイをした『永久の月影』というゲームに男鬼に関する何かしらが隠されているはず。
封呪されてはいるものの、その封印も万能な訳ではない。時が経てば封呪を破って再び襲ってくるだろう。
いまだ、私は籠の中の鳥でどこまで自由がきくかもわからない。しかも、前世の記憶も未だに断片的だ。
封呪が解かれれば、私のところに必ず男鬼がやってくる。
男鬼が再び復活するまでの時間はそう多くはないはずだ。自分を守るためにも、その限られた時間の中で対抗できるだけの知識と体力をつけなければと思う。
そして、何のために牡丹のアザを持つ者をつけ狙うのか。ゲームと現実との相互関係を分析し、さらには真実を探し出す。
延々と繰り返す狂った男鬼を止めることができるのは、当事者となってしまった『私』だけかもしれない。
その為に『永久の月影』を前世でプレイした記憶を持ち、転生したのだろうから。
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