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信頼と友情を育み、愛までも育んだと言われ現実で結婚式の動画を公開するプレイヤーが続出した。それだけこの絆戦に費やす長い時間をともにすることで芽生えた産物かもしれない。
記憶にあるのは、その動画を見たくだんの少年が「リア充どもめ。たくさんの敵を引き連れて、そいつらになすり付けよう。いくぜ、リンクダッシュー」と呟いている映像が浮かんだことだ。
何のことなのかわかってしまった。なんというはた迷惑な行動を起こす少年なのか。
そんな心の貧しい少年に、やるせない気持ちにさせられる。
……本当に前世の私?
少年がプレイをしたゲーム世界では、術や技といったスキルが多数存在し幅広く取得できるようだった。そのゲームに似たこの世界もまた、同じように呪術が使用できる。
その呪術が一般的かどうかまでは、わからないが外の世界を知ることのなかった私が、唯一守る術だけは習得している。
自分のみを護る結界として改良し、教えてくれた人がいたからだ。
本来は広い場所でそれなりの人数を護るために作られた結界だが、守護陣を学んだときでさえ外に出ることはなく部屋の中だった。
しかし、その習得したはずの守護陣という身を守る結界を自分の周囲に張っても好転しない状況に追いつめられている。
『ちょっ……まじか?!』
頭の中で響いていた少年の声が私の声として紡がれる。
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