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(多分違う。きっと違う。)
レジェンド討伐戦の男鬼は毎回封じるだけで倒すことは出来なかった。
絆戦は準備する時間があるので余裕をもって楽しめるものに対し、このレジェンド討伐戦はいきなりの襲撃で始まる。どこに出現するのかも予想がつかなかった。
しかも、誰でも参加できパーティーを組んでいようが、組んでいまいがフルボッコできるものの、封印のみで倒すことができず、実際よくわからない戦いだった。
ただ、封印するのに、レジェンド討伐戦と名がつくのは不自然でもある。
もしかしたら、大事なことを思い出せていないのかもしれない。
そんなことを考えていると、男鬼がゆっくりと動きだす。
男鬼が血濡れた刀を振り上げ、スローモーションのような様子を下から、私はじっと見上げた。
(あれ、これ逃げれるんじゃないの?)
ささっと刀の降り下ろされる軌道から外れる。
ズドォーンとあり得ない破壊音と大人の拳程の木片の欠片がおかしな速度で飛んで来た。それが右の肩をわずかにかする。それだけで、淡い桃色の可愛らしい着物が無惨にも裂ける音が聞こえた。
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