第2章 パパと「パパ」

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うふ。 やだ、もう、愛人ったら、パパみたいに大人しい態度が出来ないのね。 私が悪戯し始めると 「ちょっと。こんな所で・・・やめなさいよ。」 小さな声で言うの。 私はドレスのスリットの間から手をのばして入れ、愛人のガーターベルトのサスペンダーを外そうとしたのね。 ちょうどメインが来たところで、手をモゾモゾさせてやったのよ。 もう、こうしてストッキングを引っ張ってしまえ! 「や、やめなさ・・いよ。」 って彼女は言うのだけど、喜んでるみたい。 だって、本当に困ってるのならパパに言えばいいじゃない。 ね、ココ。 貴女がパパにしたように触ってあげるから。 「ん・・・バカ。やめなさいって」 いつもは上手に料理を赤い口に運ぶ愛人が、グロスのついてフォークをカチャッって皿にあててしまい、床に落としちゃったわ。 私たちのテーブル係が空気のように現れて何事もないように新しいフォークを置いて、落ちたものを持って去っていく。 パパが 「ありがとう。」 と言って、愛人はパパにウィンクし、私は眉をあげて彼女を睨んだのよ。 ・・・・・・・ 頬杖ついて外を見てると、お揃いのジャケットを着て歩く男女の集団があった。 体育会系の学生達には歩くときまで、ヒエラルギーがあるようだ。 同じくらいの背の高さで同じような服装を着た女子学生3人が大きな口で笑ってる。 だるそうに背中を丸めて歩くメガネをかけた男子。 図書館に行くのかしら。 ボーとしてる私を後ろの友人がペンで背中をつついて教えてくれた。先生が私を気にしてるようだ。 私は体は黒板の方に向いて、授業を聴くふりをしながら、時々「パパ」と会った場所やあちら側の校舎を見ていた。
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