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目を開けると、人がたくさんいた。
祖父母に加納の友達だと名乗った佐藤という青年、亜子。
ついに死ぬのか。
長かった気がする。
短かった気もする。
何かを成し遂げたわけでもなく、誰かを上手く愛せたわけでもない。
月光が部屋を撫でていく。
誰かが部屋に入ってきた。
謝っている。
何度も何度も。
聞いたことがある声だ。
懐かしい。
胸が痛い。
俺はこの声を追いかけていた。
いつの日も探していた。
上半身を起こすと腕が鈍く傷んだ。
ずっと、どこかが痛い。
この頃、ずっと。
加納がいた。
ちょっと老けただろうか?
でも、確かに加納がいた。
会いたかった。
会えなくて寂しかった。
俺が手を伸ばすと、加納が両手で包んでくれた。
殴ってやりたかった。
どうして連絡をくれなかったのか?
どうして携帯番号を変えたのか?
俺を嫌いになった?
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