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「……す、みません」
「は……っ…はぁ…」
「でも、全然足らないです……」
まだこんなもんじゃない、なんて言ったら怒られるだろう。それでも、今の自分は自分で止められそうになかった。
「無理……」
「うっ…」
ようやく開いた言葉に、肩を落とす。わかってはいたが、我慢するしかなさそうだ。そう思っていた矢先、杉浦は両手を和田に差し出した。
「え……」
「だから、もう無理……運んで」
そういうことか、と理解して、和田はその腕を自分の肩にのせるようにして、杉浦を抱きかかえるときゅっと自分の首に両腕が絡まり、体を預けてくれるのを感じる。
剥いだ服はそのまま玄関に置いたまま、和田は靴を脱がせた杉浦を寝室まで運んだ。
ベッドに杉浦を運び、横に寝かせる。
ベランダからさしこむ明かりに、杉浦の顔が照らされ、薄く開いた目が和田を見つめていた。
杉浦の頬に手を伸ばし、そっと撫でた。
「まだ、信じられないです。夢じゃないですか?」
和田の手に杉浦の手が重なる。
「ひとつになったら、現実って信じられる?」
首をかしげる杉浦に近づき、額にキスを落とす。
「繋がってみないとわかりません」
和田が杉浦の体に覆いかぶさるようにすると、その背中を杉浦の両腕が包み込んだ。
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