第十章:貴方の隣で咲く花になりたい

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 薄く目を開くと、隣に杉浦はいなかった。  慌てて起き上がると、ベランダにシャツだけひっかけた杉浦が外を見ていた。その手には煙草があった。  和田はそのままベランダまで歩き、窓を開けた。 「先生」  声をかけると杉浦はこちらを向いてくれた。 「起きたか?」  自分に気づいたからか、杉浦は持っていた煙草を地面のコンクリに擦り付けて火を消した。 「よく寝てたから起こさなかった」 「はい……」  今はとにかくその姿が近くにあったことに安堵する。  和田は、裸足のまま、ベランダに出て杉浦の隣に並び、しばらく、ぼんやりとベランダから見える景色を黙ってみていた。  こうして薄着で外に出ても、寒いという季節ではなくなった。時間にして23時頃だろう。うっすら見えている駅前の飲み屋街のネオンがまだ明るい。 「なぁ」  杉浦がまっすぐ前を向いたまま呟いた。 「なんです?」 「ケツが痛いんだけど」 「あっ……」  言われて、カァっと顏が赤くなる。確かに夢中になって腰を穿った気はするが、一体、自分は何回くらい、吐き出しただろうか?  指折り、一回、二回、三回、と数えていると隣で杉浦がくすくすと笑った。
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