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「優しく……しますから」
「はは、全然説得力ねぇのな?」
「……手加減します」
「はいはい」
杉浦を抱き上げたまま、寝室へ向かい、再びベッドに和田を運んだ。
杉浦を組み敷いて、キスをしたあと耳元で聞いた。
「ひとつお願いしていいですか?」
「ひとつと言わずに、いくらでも」
「えっと……名前で呼んでほしいんです」
「名前?」
「拓海って」
「そんなことがお願いなの?かわいいなぁ、たっくんはー」
また杉浦は、くしゃくしゃと頭をかきまわすように撫でてくれる。
「じゃ、拓海?」
「はい」
「ずっと俺のそばにいろよ」
「はい…!」
「おまえの居場所は俺の隣以外にはないと思え」
「はい……!!」
目元を緩めた優しい顏は、それでいい、と褒めてもらえたような気がした。
かつて自分は、狂犬だなんて言われたこともあった。けれど杉浦の前では、許可なく狂犬にすらなれやしない。自分はこの人には敵わないし、服従という立場にすら喜びを感じている。何より絶対的な包容力が自分にだけ向けられている。
自分は、こんな風に甘えられる場所を探していたのかもしれない。
そのあとも、何度も求めた自分に杉浦は応じてくれた。
ほんの少しも杉浦と離れていたくなくて、手をつないだり、抱き合ったり、腕の中にとじこめたりした。
杉浦は、きっと呆れてただろうと思うけれど、されるがままになってくれた。それでも今はくっついていたかった。離れてた時間を埋めたかった。
そして二度とこの人を離さないと自分に誓った。
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