第十章:貴方の隣で咲く花になりたい

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「和田だって、隅に置けないじゃないか」  要は耳元で声をひそめて、話し始めた。 「えっ、ただの職場の先輩、だってば」 「あ、そうなのー?僕、純太郎さんに和田の恋人って言っちゃったけど、ここで訂正する?」 「て、訂正はしなくて……いいけど」 「じゃあ恋人でいいじゃないか。甲と丙は付き合うことになった、と」 「また、そのたとえ……? わかりにくいってば」 「ほら、僕が言ったとおりじゃないか。丙は甲のことが好きだった!」 「もうー!だからその言い方!」 「拓海」  突然、和田の名前を呼ばれて、和田だけでなく、要もぴたりと動きを止めた。  そっと杉浦に顔を向けると、その顔は明らかに不機嫌そうだった。 「……はい」 「あとで、掃除機貸してくれる?あと少し、掃除したいから。一人で」 「手伝いますよ……!」 「さー、要、俺たちも若い連中つれて帰るぞ」 「え、あ、はい」  立ち上がった純太郎のあとに、要も立ち上がる。 「要、あとでお仕置きな」 「ふぇっ!?」 「じゃ、先生。お邪魔しました。ピラフ美味しかったぞ、犬」 「犬!?」  玄関に向かって、からからと笑う純太郎と、その後ろに顔色が途端に悪くなった要が続く。  その後ろから、和田と杉浦が見送る。
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