第十章:貴方の隣で咲く花になりたい

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「純太郎さん、今日は何から何までありがとうございました」 「なーに、もしなんか汚ねぇとこあったら、若いのよこすから遠慮なく言ってくれ」 「要くんも手伝ってくれてありがとう」 「いえ、僕は何も……」 「またね、要」 「うん…」  要の顔色もすぐれないが、和田もまた『一人で』という言葉が耳に残っていて、お互い生返事になっている。 「おい、犬」  純太郎が思いついたように和田に声をかける。 「またあなたはそうやって、俺を犬扱い……」 「いい飼い主が見つかってよかったな」 「え……」  飼い主とは、もしかして杉浦のことだろうか。ちらりと横の杉浦を見ると、軽く睨まれた。 「飼い主の気持ち考えない駄犬ですけどね」 「はっはっは。違いねぇ」 「えっ、駄犬!?」  狂犬の次は駄犬かと、和田は肩を落とした。
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