第十章:貴方の隣で咲く花になりたい

22/23
前へ
/160ページ
次へ
 二人を見送り部屋に戻る。 「先生……あの……」  テーブルの皿を黙々と片付ける杉浦の背中に声をかけた。 「要くん、なんだろ?たっくんの好きだった子」 「えっ……」 「まぁ同じ建物に住んでるってことも知ってたけど、へー、そっか」 「そ、そうです、けど!でも要とはもう何も……」 「よく、恋人の前でイチャつけるよな」 「えっ……」  明らかに杉浦は、むーっとしてむくれていた。 ――あれ、これって嫉妬してもらってる? 「たっくん、あの子と何回したの?」 「はっ!? ちょ、そんなに何回もしてませんよ!」 「一回は、したんだ……」 「うわあああ」  しまった。あとから気づいた。これは誘導尋問だった。 「俺はいいけど、純太郎さんすごい顔して睨んでたよー」 「ひゃああ……要に悪いことした…」  すっかり意気消沈していると、杉浦は和田の頭をぽんぽんと撫でた。 「冗談だよ。俺の拓海は、俺以外に興味ないもんな」 「あ、当たり前です! それに先生のほうが……回数多いですし」 「へぇ、じゃ今からもう一回増やしておく?」 「いいんですか!?」  思わず弾んだ声で答える。
/160ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2001人が本棚に入れています
本棚に追加