サクサクッ、、、

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サクサクッ、、、

一つ上の彼女が通う、第一志望の公立高校に落ちた俺は、スベリ止めのミッション系男子高校に通う羽目になった。 その高校は、いわゆる進学校で、普通の修学旅行がなかった。そのかわり、入学して直に研修旅行があり、俺達はその六泊七日の旅行を洗脳合宿と呼んでいた。 伊豆、箱根の宿舎に三百人を超える生徒が二つのグループに別れ、三日間ずつ、別々の宿舎に泊まる。昼間は、観光等に回るのだが、夕食後は、毎晩、聖書とキリスト教の勉強会、もしくは、映画鑑賞だった。 その四日目の移動中の午後、あまりにもの退屈さと、入院していた彼女にその日、電話が通じなかった事とかで、イライラとしていた。気持ちが落着かなかった俺は、仲の良い二人に、今夜消灯後何かしようと話しを持ちかけた。 俺達は出席番号の一、二、三番で、入学して直に知り合いに成った。しかも、偶然とは恐ろしいもので、その一人、石田(仮名)の母親は、俺の保育園時代の保母さんだった。入学式の日、知らない大人の女性からいきなり名前を呼ばれて、とてもビックリしたのを憶えている。     
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