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「なんでい、誰かと思ったらにいちゃんじゃないか。確か竜人って言ったか? しけたツラしてこんなところで一人で何をしてる」
「貴方はジャックさんでしたよね。」
声をかけてきたのは、以前孤児院で出会った金貸しをしているボスのジャックであった。
「丁度いいや、奢ってやるから少し付き合え。」
ジャックは近くの酒場を指差すと、竜人に来るように促した。
特に予定がなかった竜人は曖昧な返事を返しながらも、ジャックの後へと着いていく。
酒場の中に入ったジャックは奥の席に座ると店員を呼び注文をする。
「俺にはエールをくれ。お前は何にする。」
「俺は未成年なんでジュースか何かを。」
「なんだよ。付き合い悪りーな。」
店員は注文を取ると下がっていった。
「ジャックさんは昼間っから酒なんか飲んで良いんですか?」
竜人はジャックに意趣返しをするように尋ねる。
「はん、俺は悪党だぜ。昼から酒ぐらい飲むのは当たり前なんだよ。」
ジャックは特に気にした風もなく答えた。
やがて店員が注文の品をテーブルに置いていく。ジャックはエールを手に取ると一気に飲み干していた。
「ぷはー、上手い。おーいエールお代わり!」
すぐさまお代わりを要求していたジャックは、竜人の方を向くと一人喋り始めた。
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