第2章 王都編 第35話

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 竜人は懸命に走り続けエリスを探し続ける。  すると何かに引き寄せられるように、竜人の足は勝手に中央の噴水のある広場の方へと向かっていった。  やがて広場にたどり着いた竜人は、ベンチに座りうつ向いているエリスの姿を確認する。  竜人は速度を落とすと、ゆっくりと歩きながらエリスの傍まで行き隣へと座った。  しばらく何も言えなかった竜人だったが、意を決したようにエリスへと語りかけた。 「エリスごめんな。別に俺はエリスたちと別れたい訳じゃないんだ。ただ、このまま俺と一緒に居たらこの間のゲイルードの時のような事がまたあるかもしれない。あの時は姉さんが助けに入ってくれたから結果的に助かったが、今度また同じ事が起きたときには命の保証はない。俺にはエリスたちを護りきれるだけの力がまだないんだ。」  竜人は空を見上げると言葉を選びながら告げた。 「でも俺が間違っていたよ。それは結局エリスやミーナに対する責任からただ逃げるための言い訳にすぎないと。ある人から言われたよ、何から逃げるためにした判断はいつか後悔するって。エリス、俺は・・・・・・。」  竜人が続きを話そうとしてエリスの方を向こうとすると、突然エリスの唇が竜人の唇と重なり合った。     
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