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竜人は思わず目を見開く。しばらくするとエリスは竜人から唇を離すと、今度は恥ずかしそうにうつ向いてしまう。
「これは兄さんに対する罰です!約束を破って私やミーナから離れようとしたんですから。」
竜人は思考停止したままエリスを見つめていた。
「兄さんの気持ちは分かっているつもりです。私やミーナのことを護るために離れようとしたことも。兄さんが死にそうなとき私には何も出来なかった。本当は自分の無力さが一番許せなかった。兄さんのことを責める資格なんか私にないことも分かってます。」
エリスの目からはまた涙が溢れてきた。
「違う。エリスは悪くない。俺がエリスたちから逃げようとしたのが悪かったんだ。」
竜人はエリスを優しく抱き締めながらそう告げた。
しばらくの間そうしていると、漸く落ち着いたエリスからは涙が止まっていた。
「兄さん。今度こそ約束します。私も兄さんを支えられるように強くなります。」
「ああ、俺もだ。誰であっても皆を護れるくらい強くなる。そしてエリスたちを二度と置いていったりしないと。」
二人は抱き締め合いながら、やがて自然と顔が近づいていった。
もう少しで唇がくっつく寸前で竜人は背中に悪寒が走った。
「いっ!」
素早く振り向き周囲を確認するも、特に怪しい人は確認できなかった。
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