第2章 王都編 第35話

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 竜人は思わず目を見開く。しばらくするとエリスは竜人から唇を離すと、今度は恥ずかしそうにうつ向いてしまう。 「これは兄さんに対する罰です!約束を破って私やミーナから離れようとしたんですから。」  竜人は思考停止したままエリスを見つめていた。 「兄さんの気持ちは分かっているつもりです。私やミーナのことを護るために離れようとしたことも。兄さんが死にそうなとき私には何も出来なかった。本当は自分の無力さが一番許せなかった。兄さんのことを責める資格なんか私にないことも分かってます。」  エリスの目からはまた涙が溢れてきた。 「違う。エリスは悪くない。俺がエリスたちから逃げようとしたのが悪かったんだ。」  竜人はエリスを優しく抱き締めながらそう告げた。  しばらくの間そうしていると、漸く落ち着いたエリスからは涙が止まっていた。 「兄さん。今度こそ約束します。私も兄さんを支えられるように強くなります。」 「ああ、俺もだ。誰であっても皆を護れるくらい強くなる。そしてエリスたちを二度と置いていったりしないと。」  二人は抱き締め合いながら、やがて自然と顔が近づいていった。  もう少しで唇がくっつく寸前で竜人は背中に悪寒が走った。 「いっ!」  素早く振り向き周囲を確認するも、特に怪しい人は確認できなかった。     
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