416人が本棚に入れています
本棚に追加
「コルビーさん、頭を上げてください。俺もはっきりしなかったのが悪かったんです。それにエリスたちの心配をして言ってしまったことですから、俺も気持ちは分かります。いきなり知らない男がエリスの傍に居たら俺だって同じ事を言ってしまうと思いますし。」
竜人はエリスを見ると問いかけた。
「エリスももういいだろう? 俺は気にしてないから彼を許して上げてくれないか。」
エリスはコルビーを見て答えた。
「もう良いわ、兄さんもああ言ってるし、私のことを心配してくれたのは嬉しかった。でも、兄さんのことを傷付けることは誰であろうと許さないから。」
エリスの言葉にコルビーは顔をあげるとエリスに話し掛ける。
「エリスは自分の大切な人が見つかったんだな。」
「ええ」
エリスの言葉を少し寂しそうに聞いていたコルビーは竜人に告げた。
「竜人さん、エリスたちのことをよろしくお願いします。俺にはもう何もしてやれることはありませんから。」
頭を再び下げるとコルビーは竜人に頼み込んだ。
「ああ、約束する。エリスもミーナも必ず護ってみせる。」
そう竜人が告げると、満足した表情でコルビーは店の中に戻っていった。
「ミーナたちも待っているだろうから、帰ろうか。」
残った竜人とエリスは手を繋ぐと宿へと帰ることにした。
宿へと戻ってきた二人は自分達の部屋の中へと入っていく。
最初のコメントを投稿しよう!