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プロローグ
20XX年某所 中学校
キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン。
今日も退屈な授業を終えた汐崎勇樹は、カバンに教科書を詰め込むと帰宅の準備をしていた。
普段は部活動のテニス部の部室に向かうところだが、期末テスト期間のため下校が義務付けられていた。
明日は誕生日の為両親と双子の妹、汐崎由姫と一緒にちょっとお洒落なレストランに食事に行く予定を控えていた。
「勇樹はもう帰るのか?」
勇樹に声を掛けてきたのは、勇樹の親友の六条一貴だった。
こいつは俺と妹の所謂幼なじみというやつで、性格も良ければ文武両道の女子にはモテモテの男の敵のような奴だった。
まあ、子供のころから常に一緒に過ごしてきて悪い奴ではないことは理解しているが、時々殴りたくなる衝動に駆られてしまう。
「おう、期末前だからな。どこかの頭のいいやつとは違ってこっちは必死なんだよ。お小遣いにも影響してくるからな。」
勇樹は一貴の問いに仏頂面で答えていた。
「いや、普段から勉強しておけばテスト前に困ることはないっていつも言ってるじゃないか。勇樹は勉強すればできるんだから今度由姫ちゃんも一緒に勉強しようよ。」
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