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「私も寂しくなるわ。由姫ちゃんみたいに若くてかわいい女の子なんて、なかなか入院なんかしないから。」
「なに言ってるんですか。」
勇樹は愛美の言葉に、返答に困ったように笑いながら答えた。
検査のために服へと着替えていると、ドアがノックされると返事を聞かずに開かれた。
「あら、着替え中だったのね。」
勝手に入ってきたのは母であった。
「母さん、返事も聞かずにドアを開けるのはマナー違反だと思うけど?」
「こら、ちゃんとお母さんと呼びなさいって言ったでしょ。まあいいわ、それに女性同士恥ずかしがるものじゃないでしょ?」
「いや、その理屈はおかしい。それに身体は由姫でも心は男の勇樹なんだからな。」
母はやれやれというような仕草をして答えた。
「いい加減に現実を受け止めなさい。あんまり聞き分けが悪いとお小遣い減らすわよ?」
「お母様、流石にそれは酷いと思います。」
あっさり態度を翻す勇樹に満足した様子の母は告げてきた。
「そうそう、明日退院になったらしばらくはお爺ちゃんの家にお世話になりますからね。」
「えっ、どういう事?」
母に疑問を問いかける勇樹。
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