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「あの事件から家の方にも取材やらなんやらが来て大変なのよ。人の気も知らないで無神経な人たちばかり。貴方が退院したって分かったらハゲ鷹のように狙われるわよ。万が一貴方の秘密がばれたらどうなるか。」
身体を大袈裟に震わせてそう告げてきた母に、思わずその状況を想像してしまう勇樹。
「だから、お爺ちゃんの家に行って学校も転校することになるわ。そこで女の子として恥ずかしくないように修行をしますからね。」
「え~。転校もするの?」
「それはそうよ。最初は周りも多少不自然でも事件のせいだとは思ったくれると思うけど、それが続けば不審に思うかもしれないしね。周りが落ち着くまでの念のためのものよ。」
母に押しきられるように渋々ながら了承した。
(はぁ~、これからどうなるんだろう。由姫、何処にいるんだよ?)
勇樹は今後の生活に不安を感じていた。
翌日検査を無事に終えた勇樹は母に連れられて自宅まで帰ってきた。
自宅周辺には取材をしている記者の人たちが見受けられたが、駐車場に入るとシャッターを閉めて外部をシャットアウトした。
「ただいま~。」
勇樹はそう言って家のなかに入ると、久しぶりの我が家に感動した。
「はい、おかえりなさい。」
母にそう言われ一緒になかに入ると、一階の和室の部屋には自分の写真が飾られた祭壇があった。
自分の祭壇を見ることになるとはと複雑な表情を浮かべる勇樹。
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