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それに気が付いた母は勇樹に告げた。
「しょうがないじゃない。世間的には貴方は死んでしまっているんだから。まさか葬式を上げない何て事できるわけないでしょ」
「それはそうだけど・・・。」
勇樹が言いよどんでいると声をかけてきた人物がいた。
「勇樹なのか?」
信じられないと言う様子で話し掛けてきたのは父であった。
「父さん、今日は仕事の方どうしたの?」
何時もなら仕事で居ないはずの父が居たことに驚いた勇樹。
「娘が退院してくるっていうのに仕事どころじゃないって休んだのよ。」
母が説明をする。
父は勇樹を抱き締めながら言った。
「勇樹、よく由姫を護りきったな。偉いぞ!」
そう言って頭を撫でる父に、勇樹は照れながらも大したことないと告げた。
「由姫を護るのは俺の役目だからね。」
「そうだったな。さて、丁度退院祝いの料理も完成したところだしみんなで食事にしようか。」
そう言って父はダイニングの方に二人を案内する。
ダイニングに着くとそこには勇樹と由姫の好物の料理が所狭しと並べられていた。
「すごい量だね、こんなに食べられないよ。」
そう言った勇樹だったが嬉しそうな表情を浮かべていた。
「まあまあ、食べきれなかったら残してもいいし、母さんも座って。」
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