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男子生徒たちが盛り上がるなか、一人が声をかけてきたので振り返るとマスターが男子生徒たちにウインクと投げキッスをしていた。
男子生徒たちはその時、マスターがまるで猛禽類のように狙いを定め舌舐めずりしている幻覚が見えたという。
『う、うわああああああーーーー!!』
その後、何故か由姫のクラスの男子生徒たちはこの店に近寄らなかったという・・・・・・。
「ただいま~。」
「キャンキャン!」
由姫が玄関を開けると、元気よくサクラがお出迎えに来てくれる。
「サクラ~。寂しくなかった?」
「クゥーン、クゥーン。」
サクラを抱き上げてあやしながら、リビングへと向かう。
「お帰りなさい由姫。どうだった?」
「ただいま、もう疲れたよ~。でもみんなと一緒で楽しかった。」
「由姫は良いわね。青春の真っ只中で。」
母と話していた由姫はふと気になることを尋ねる。
「ねえ、そういえばお父さんは? 何処かに出掛けたの?」
「あっ、いっけない!」
母は慌ててソファーに向かうと、何やらごそごそしていた。
「一体なにが・・・ってお父さん! まさか朝からずっと?」
由姫が目の当たりにしたのは、縛られたまま猿ぐつわをされ、力なくぐったりしている父の姿であった。
「あははははは、つい忘れていたわ。」
「お母さん───。」
ジと目で母を見る由姫。
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