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「ああ、気が向いたらな。」
勇樹は気乗りのしない様子で答えた。
「そういえば、明日は勇樹と由姫ちゃんの誕生日だったね。」
何がそういえばだ、と思った勇樹だったがあえて突っ込まなかった。
「そうだよ。プレゼント楽しみにしてるぜ。」
「わかってるよ。それじゃあ今日は寄っていくところがあるからこれで帰るね。」
「ああ、そうだったな。それじゃあ、また明日なー。」
「うん、由姫ちゃんにもよろしく言っておいてね。」
そう言うと一貴は教室から出て行った。勇樹もそろそろ帰るかと思っていると自分を呼ぶ声が聞こえてきた。
「お兄ちゃん、帰る支度はできた?今日は帰って一緒に勉強するんだから早くしないと。」
「由姫か、わかってるって。そんなに慌てるなよ。」
由姫は勇樹の腕を捕まえると早く行こうとせっついていた。
学校を出た二人は最寄りの駅から電車に乗ると、二駅隣の駅に降りた。
もうすぐ冬休みに入る時期なだけに、だんだんと冷えてきた空気に勇樹は顔を歪ませた。
「そういえば、今日は一貴くんは一緒じゃなかったんだね。」
「うん、あいつは今日は用事があるんだと。」
「そうなんだ。」
特に気にした様子も見せない由姫。
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