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ふと、勇樹は前からやってきた男が気になり視線を移す。
「くそ・・・、みんな俺のことバカにしやがって・・・、見てろよ・・・。」
男がポケットに手を突っ込むとナイフを取り出し、次々と人に襲いかかっていった。
「きゃああああー」
悲鳴を上げながら逃げ惑う人々。勇樹は由姫の腕を掴むと反対方向へと逃げ出した。
「お兄ちゃん・・・。」
不安そうに呼ぶ由姫の声を聞き、勇樹は励ます。
「大丈夫だ。俺がついてる。」
しかし、通り魔の男は勇樹と由姫に狙いを定めると追いかけてきてナイフで由姫を刺そうとした。
「危ない!」
咄嗟に由姫を庇うと男は勇樹の腹を刺してきた。
「ぐああああ」
「お兄ちゃん!」
由姫の悲鳴を聞きながら、勇樹は腹に刺さったナイフを両手で掴みかかると、男からナイフを奪うことに成功する。
(このままじゃ由姫まで殺られてしまう。そんなことはさせない。俺が由姫を護るんだ!)
「うおおおおおお」
勇樹は残った力を振り絞ると、由姫を護るために男に目掛けナイフを突き刺した。
「うわああああ、うぐぅ」
通り魔の男はナイフを刺されると怯えた悲鳴を上げて、力なく地面へと倒れた。
それを確認すると勇樹も地面に倒れ伏してしまう。
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