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「はぁ?」
思わず気の抜けた返事をしてしまった勇樹に、鏡を持ってきて渡してきた母。
そこに写っていた姿を見た勇樹は、思考が停止してしまった。
鏡に写っていたのは祖母の血を受け継いで、銀色の長い髪をストレートにした少女の顔だった。
というかまんま妹の顔だったのでどっきりかと髪を引っ張る。
しかし、かつらのように外れることはなかった。
「これどういうことだよ? なんで俺が由姫になってるんだ? じゃあ俺の身体は? 由姫は何処に居るんだ?」
あまりのことに混乱をきたしてしまった勇樹は、母に質問攻めをしてしまう。
「落ち着きなさい勇樹。取り敢えず一旦整理しましょう。」
母の言葉になんとか落ち着きを取り戻した勇樹は話を聞くことにした。
「まず、勇樹。貴方の身体は先日葬儀が済んで火葬にされてお墓の中よ。」
あまりのことに目を見開いた勇樹はやっとの想いで言葉が出てきた。
「えっ、俺死んだの?」
「そうよ。由姫を庇って通り魔の男と刺し違えて由姫を救ったのよ。えらかったわよ。」
そう言うと母は勇樹の頭を撫でた。
「じゃあ俺もとに戻れないじゃん!」
「そうね。ところで由姫の意識は貴方には感じられないの?」
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