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勇樹は必死に自分の中の由姫の意識を呼び戻そうとするが、反応が返ってくることはなかった。
「ダメだ、母さん。何も感じないよ。」
「そう・・・。」
母は少し考える仕草をして、やがて勇樹に告げた。
「こうなっては仕方ないわね。勇樹、貴方は由姫の意識が戻るまで由姫としてこれから生活していく。良いわね?」
「え~。」
勇樹は絶叫する。
「しょうがないじゃない。今の貴方は紛れもなく由姫なんだから。幸い双子で子供のころからいつも一緒だったし、お互いの性格とかよく把握しているでしょ? 取り敢えずは、中身が入れ替わった勇樹だとばれないようにしなくちゃ。」
「母さん、なんか楽しんでない?」
勇樹はジト目で母を見つめる。
「そんなことないわよ~。それに勇樹もこれで女の子と一緒にお風呂とか合法的に入れてお得でしょ?」
母は実に良い笑顔で勇樹に言ってきた。
「そんなこと出来るかー。」
勇樹から魂の叫びが溢れる。
「こら、女の子がそんな言葉遣いをしないの。これからは言葉遣いに気を付けてちゃんとお母さん、お父さんと呼ぶのよ。料理とかもしっかり学ばないと、良いお嫁さんにもなれないしね。」
母からの言葉に勇樹は顔面蒼白になる。
「俺が男と結婚できるかー!」
想像しただけで鳥肌ものだったが、母は残酷に告げる。
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