2人が本棚に入れています
本棚に追加
ブレザー姿の女の子が煙突から立ち上ぼる煙をぼんやりと見ていた。
「里奈ちゃん、そろそろ時間だからもどりましょ」
彼女を呼びに来たのは彼女の叔母だった。叔母は彼女のいるところまで来て、それから彼女といっしょに火葬場へ向かって歩き出した。
「突然だったわね…」
叔母がぼそりと言う。
「でも、もうこれで、姉さん、お義兄さんからひどいことされないんだな、って思ったら…」
そこで叔母は言葉を飲み込んだ。
「ごめんなさい、里奈ちゃん。そんなこと言っちゃいけないよね…でも…」
「いいよ、叔母さん。私もそう思うもん」
「里奈ちゃんはこれからどうするの?」
「…」
「里奈ちゃんさえ良かったら、うちに来てもらってもいいのよ。こう言っちゃなんだけど、家にお義兄さんと里奈ちゃんだけなんて心配だわ」
「ありがとう、叔母さん。でも…、あんな父でも、父ですから」
最初のコメントを投稿しよう!