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8話 手長ザルのタッツン
暫く歩いていると絵を描いているテナガザルさんがいた。
「そこのスカンク君!1枚描いてやるからどう?」
『僕を描いてくれるの?』
「いいよ。描いてあげるよって言ってもみんな知らん顔だしな。描かないと上手くならないし。」
『いいの?じゃあお願い。』
「任せとけ。」
テナガザル君が僕の似顔絵を描いてくれた。
『すごーいこれ?僕?』
「かっこよく書きすぎたか?ははは。」
『何で、こんな上手なのにお客さんこないの?』
「それはオレもわからんなー!自信はあるんだけどな。明日も動けない1日になりそうだ。」
『僕も多分明日は寝込みの日だよ。』
「ははは。オレと一緒だな。」
『絵ありがとう。お礼にこれ僕が焼いたクッキー食べて。きっと元気出るから。』
「いいのか?後で小腹がすいたら食べるな!これオレの名刺だ。名前はタッツン。プロの絵描きになる為にここでいつも絵を描いてる。」
『僕今、名刺無いんだ。また遊びにくるよ。僕はチャーマル。向こうの方でクッキー屋さんをしてるんだ。描いてもらった絵はお店に飾って来たお客さんに宣伝するね。』
「チャーマルか!お互い頑張ろうな。クッキーありがとう。宣伝してもらえると嬉しいよ。」
『うん。お互いスター10個目指して頑張ろうね。』
僕はタッツンにクッキーを5枚渡した。
でもまた自分のガスを使って焼いた事は言わなかった。
タヌキ君の時みたいな顔をされるのが怖くて言えなかったんだ。
やっぱりいらないって言われるのが怖くて。
それでも元気は絶対出るはずだから、タッツンには食べて欲しくて言えなかった。
タッツンにクッキーを渡して、
クッキーは93枚から88枚に減った。
…D町には、いい動物さんいっぱいいるんだなぁ。
…楽しいな。
…みんな僕のクッキーで少しでも元気が出たらいいな。
僕はいろんな発見に胸が高鳴りながら、まだ散歩を続けた。
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