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しばらくして、私は一人暮らしの部屋を引き払い、実家に戻った。
そして母に強くすすめられ、実家近くの心療内科に行った。
「ずっと落ち込む?」
「はい。ここ最近はずっと。前は頑張ろうって思えたんですけど。その差が大きすぎて、余計辛くて」
「そっか。今、気持ちの波が大きすぎるのかな。1度、気分をフラットにさせる薬を出しますね。続けて飲まないと効果は出ないけど、もし合わなかったらまた考えましょう」
薬は2週間分貰い、私は2週間毎に通院することになった。
だけど、薬を飲んでも何にも変わらなかった。
むしろ、薬を飲んでも変わらないという事実が余計、私を悲しませた。
そうして何もしない毎日は、2か月続いた。
コンッコンッ
母が私の部屋を静かにノックした。
私は返事もしないでいると、扉の向こうから、母がゆっくりしたトーンで話し出す。
「栞。今日の午後、おばあちゃんのとこ行けそう?」
「……」
「ちょっと最近、体調悪いらしくて」
「……うん」
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