また明日」

3/5
前へ
/20ページ
次へ
車の後部座席に座りながら、ぼうっと外の景色を見ていた。 明るすぎる青い海が見えてきた。 祖母の家は、もうすぐだ。 「よう来てくれたなあ。仁美ちゃん!」 玄関で出迎えてくれた祖母は、私を見て、母の名前を呼んだ。 思わず隣にいる母の顔を見る。 「最近急に呆けちゃって」 父方の祖父母は2人とも私が高校生の時に亡くなった。そして母方の祖父も一昨年に亡くなっている。 3人とも、私は最期を迎える直前に、顔を見に行った。 その経験が、嫌でも私にわからせてしまった。 おばあちゃんの顔は、もう最期を迎えようとする人の顔だった。 「栞?どうかした?」 「……ちょっと、外でてくる」
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加