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私はいつもそうだ。
祖母のときも、祖父のときも。
「そろそろ危ないかもしれない」
母からそう聞いてやっと、私は会いに行った。
友達との約束、試験勉強。いつも真っ先に優先するのは、そっちの方だった。
目の前に広がる海は、私には明るすぎるコバルトブルー。
太陽が雲の間から顔を出して、海を照らしている。
「どうして私はこんななんだろう……」
私は、祖母の事を思い、そして自分の最低さを思い知り、泣いてしまった。
毎日どれだけ泣けば、気が済むのか。
普通、悲しすぎると涙が出なくなる状態になるんじゃないのか。
それなら私はこれからもっと、これ以上悲しい気持ちになるんだろうか。
――お。今日も泣いたな~杉崎!
爽やかな陽の光が射し込むコバルトブルーを見ていると、目を細めて笑う三井さんの顔が浮かんだ。
「本当に駄目だなぁ。私。どうして……」
……え?
「どうして……」
そう言ってすぐ、はっとした。
気付いた途端に、心臓が、さっきよりもどくどくとはやく脈打っているのがわかる。
「あ、違う……」
数ヵ月前。
パソコンを立ち上げては流していたあの時の涙と、今、私が流している涙。
この2つの涙は、違う涙だった。
「あぁ……良かった……」
心臓に両手を当てる。
どくどくした音を感じながら、良かった、良かったと何度も口に出した。
良かった。
私はこれから、あの時以上に悲しい気持ちにはならないのかもしれない。
だって……。
私は今、私の意志で泣けている。
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