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◇◆◇
「───知ってる?」
「何が?」
「そこの商店街よ。
オカマバーができたの。」
夕飯時、何気ない会話は母からだった。
母親の冷めた言葉に
俺は興味なく相づちを打った。
「へぇ、そうなんだ。」
「嫌よねぇ、全く。
あんな変なの出来たら
町全体の風紀が乱れるわ。」
『帰りが遅くなる』と先ほど連絡があった
父親の夕食にラップをしながら、
ため息まじりにボヤく母の表情は
明らかな嫌悪感をしめしていた。
真面目で頭の堅い母親。
普通とは異なることにひどく差別を持っている。
そんな母親の子である俺が言うのもなんだが、
俺はそんなものひと欠片も感じないわけで。
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