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また怯えさせてしまった──
そんなつもりは更々ない筈なのに、アデルにわざと焚き付けられてそれにまんまと乗せられる自分にも腹が立つ。
“マナミは実に良い肌をしている”
ただ、あの言葉だけは許し難い──
ザイードはギリッと奥歯を噛んで気持ちを抑え込む。
そして愛美を抱き締めた。
「何をされた…っ…どこまで許したっ……」
「……っ…」
強く抱き締めて尋ねるザイードの声が熱を含み掠れて聞こえた。
ザイードの鼓動が早い──
激流のような血のたぎり。それが愛美にしっかりと伝わってくる。
でもそれを抑えようと努力してくれている。愛美はそれを感じながら観念したように口を開いた。
「少し…だけ、キスされた…」
愛美はディープな接吻を受けたことを隠しながらそうザイードに告げていた。
その言葉にザイードの抱き締めていた腕にビクリと力が入る。
「それだけか…っ…」
「……っ…」
「ならなぜアデルはお前の肌を知っている…っ」
「そ、れは…っ…お腹を撫でられて……」
「──……」
愛美の肩に顔を埋めていたザイードの目が段々と見開いていく──
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