21章 親善大使の公務(前編)

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・ 愛美はそんなザイードの手を上から包むように自分の手を重ねてザイードの大きな手のひらの感触を味わいながら頬に押し当てる。 「すごく幸せな気持ちがする……だから勝手に笑っちゃうんだと思う…」 「──……」 そう言って目を閉じて想いに浸る愛美を見つめたザイードの瞳が一瞬で嬉しそうに潤んだ。 「親は……どこにいる」 「……ん?」 「マナミの両親に会いたい──…」 「………」 手のひらを頬に当てたまま親指が愛美の唇を優しくなぞる。そんなザイードの口から出た言葉に愛美はゆっくりと目を見開いていた。 「マナミを妃にするなら挨拶に行かなきゃならない──…今日にでも行きたい、会わせてくれ」 「きょっ…今日っ!?」 愛美は慌てて聞き返した。 「ああ、なるべくなら今日──…会うだけでもいい、妃にすることだけは先に伝えたい──」 「………っ…」 「結婚はまだ後になる、向こうは色々と仕来たりもあるから時間が掛かる」 「───…」 愛美はザイードの言葉を聞きながらひしひしと現実味が沸いてきていた。
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