2.Dr.P a laboratory

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「締め上げる?」 「そう。余計な気を起こさないようにしてもらえらばありがたい。ちゃんと、礼だってする。ここに来る途中、私がこれまで開発、発明した品々を見てきただろう。どれでも、好きなのを譲ろう」 「本当?」  突然、虎子はP博士に顔を近付けて聞く。一瞬のできごとだった。P博士が報償が発明品であると口にした途端に虎子の目の色が変わった。やはり、トコリコと性格が似通ってい。恐らく、虎子が目をつけたのは、あの全てが貴金属や宝石で出来た人工衛星の一種である発明品だろう。何でもいいというのならば、彼女がアレに目をつけないはずがない。 「本当に何でもいいの?」  虎子は怖いくらいに目を血走らせてP博士に聞く。彼女の迫力にP博士は押されたブンブンと首を縦に振って答える。 「あ、ああ。どれでもいい・・・。どうせ、作者によって作らされた品々だ。私達には欲というのは存在しない。持っていても、宝の持ち腐れだ」  星村の話によって作られた彼らにとって、それらは物語の上での遺産であり、未練のあるモノではなかった。いくらそれらを持っていかれても、どうってことはなかった。  虎子は真剣な眼差しで、頭の中で計算していた。トコリコが本来得るはずだった星村からの報酬とP博士の開発したモノ。どちらが、価値あるものなのかを。もっとも、比べるまでもない。 「いいわね。そっちの方が!」  虎子は一人、盛り上がっている。ネロ達の意見も聞かずに。 「私は別に報酬はどうでもいいわ。ネロ様との映画デートを再会できるのなら」 「私も反対はしないわ。退屈していたし」  キャロンもピースも乗り気だった。  どんな相手が待ち構えているのか分からないというのに、女性陣は好き勝手な行動をとっているY氏達を止めに行く気、満々だった。 「・・・・」 「ネロ様はどうしますか?」 「俺か・・・。俺は・・・」  ネロは口を紡ぎ、一度、P博士を見る。P博士は無理して笑顔をつくっているらしく、口元が吊り上がっていた。それも、仕方ない、個性的な面々と対面している。どのように対応したらいいのか悩むのが普通だ。
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