2.Dr.P a laboratory

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「俺はここに残ってトコリコの様子でも見ているよ」  ネロはあまり関わり合いになりたくないといった様子で頭をかきながら言った。映像でしか、トコリコの様子は確認できていない。彼が今、どのような状態なのか一度、見ておきたかった。 「それでもいいでしょう?」  ネロがP博士に聞くと、彼は頷いて、 「彼は第二研究室で寝ているが、今、手がけている、ブツが完成したら案内する。それでも構わないか」  雑然としたテーブルに置かれた今、作っていると道具は、ほとんど形は出来上がっていた。あと少しで完成といったところだろうか。 「それでいい。それまで、待たせてもらうから」  そう言って、ネロは綺麗な立方体のブロックに腰掛けた。これでも、P博士の発明品なのだろうか。それにしては、妙に温かい肌触りだ。熱線でも埋め込まれているのだろうか。 「ネロ様はどうして行かないのですか?」  キャロンは不満そうに口を尖らせて言う。これから、遊びにでも行くような雰囲気だ。 「キャロン、悪いな。前の世界で〈スロク〉とやりあったから、ナイフやロープを調整しないといけないんだ」  サイド国での戦い。ネロは無傷ではすまなかった。異常な体温の上昇を使ったことで肌の一部が焦げていた。トコリコの命の首輪のおかげで回復はしたが、戦闘に使用したナイフとロープは大分、劣化していた。満足な装備もないままで戦いに赴くことは、仲間の足を引っ張ることになる。 「足手まといになりたくないんだ」 「・・・・」  ネロの言葉にキャロンの顔を真っ赤にした。ネロは『仲間』として言った、つもりだったが、キャロンには別の意味に聞こえてしまったらしい。 「キャンキャン!ここよ!ここで、前に教えたあれを・・・!」  困惑するキャロンに虎子が何やら耳打ちをしてアドバイスを送っている。まだ、虎子の恋愛教室は終わっていなかったようだ。 「べ、べべべべ、別に、ししん配なんかしてくれれれななくたたたたっていいいんだからねね!」  キャロンは顔を引きつらせながら憎まれ口を恐らく叩いていたのだが、説得力がなかった。それを見て、虎子が彼女に横やりをいれていた。 「キャンキャン!緊張しないの!いい?ツンデレっていうのは、バランスが大事なのよ。デレる時はデレればいいけど、こういう時は、相手の気を惹く為に・・・」
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