3.X、Y、Z

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「私はピースフル・メデューサ。元魔女狩り部隊『カナシア隊』の隊長」  Z氏は歯を噛み締めた。姿に惑わされてはいなかったが、実力が予想以上であったことに。 「どうせ、星村にフィルムの修正を頼まれたんでしょう。私達はウンザリなのよ。あの男の書いたシナリオ通りに役を演じ続けるのは」 「作品の一部であるからには、自由に動けない点には同乗するけど、自由に動けるようになって、どうするつもりなのよ。このフィルムの世界なんかで」 「そんなの決まっているでしょう!自由を勝ち取り!外の世界を逆にフィルムの中に取り込んでやるんだ!」  Z氏は目を見開くと手に持っていた三つ葉のクローバーをあしらった杖を発動させた。また、何かを生み出すつもりなのか。だが、無重力空間を自由に生み出せ、どんな破片も武器にしてしまうようなピースには無駄な行為にしか思えない。  Z氏もそれを重々承知しているはずだった。彼女が生み出そうとしていたのは、重力も関係なしに動けるモノ。 「・・・え?」  ピースは顔を引きつらせた。  彼女の目の前に巨大な怪物がいくつも出現したから。機械から正体不明の生物まで。その全ては、トコリコの記憶や星村の作品から引っ張りだしてきたものばかりだ。  確かに巨大な相手なら重力などほとんど、関係なしに動けた。 「回収シマス。回収シマス」  ピースが驚いていると、彼女に近寄ってくるロボットがいた。もう中世も何も関係なくなってきていた。黒塗りのロボットは同じ言葉を繰り返しながらピースをその長いアームで掴み上げようとしてきた。  一人、トコリコの様子を見る為にP博士の研究所に残ったネロは黙って、作業中のP博士を見ていた。  P博士はずっと何かを真剣につくっているが、素人のネロにそれが何であるのか知ることはできなかった。ただ一つ分かっていることは。 「・・・どうかしましたか?ナイフなんかを、私の後ろに突き立てたりして」  P博士は作業の手を止めることなくネロに聞く。ネロは黙ったまま、彼のすぐ後ろにナイフを突き立てていた。 「白々しいことを言うな。分かっているのだろう。トコリコの記憶から俺達の情報を盗み見したのはお前なんだから」
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