4.自由を求めて

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「ええ。厳しいわ。だけど、私は創造主なのよ。関係無いわ」  Z氏は微動だにせず言う。ピンチだというのに、彼女は随分と余裕ぶっていた。まだ、何か仕掛けてこようとしているのか。ピースは警戒し、振り向こうとした。だが、遅かった。その時、すでに攻撃が始まっていた。ピースの身体を地面から隆起した突起が貫く。 「ここの創造主は私。動かなくても、あなたを黙らせる手段は幾らでもあるわ」  Z氏は振り返りながら身体を貫いたピースの姿を確認しようとした。ところが、振り返った瞬間、Z氏は目を疑った。 「いない・・・!」  身体を貫いたと思ったのに、ピースは姿を消していた。 「そうね。創造主だから、関係ないでしょうね。だけど、私だって、あなたの事情は知らないわ」  ピースは空に浮かんだまま、魔銃器の銃口をZ氏に向けていた。 「今度は、どんな魔法を見せてくれるのかしら?弾になる材料がなくては何もできないでしょう?“焼失されし魂(フレイク)”で私を焼き払う、つもりかしら?だったら、無駄よ。私を焼死させることはできないわ。アナタがそれを使ったと同時に身代わりを生み出すだけだから」 「そうね。一応、さっきのはチャンスだったのよ。重力系の魔法でも極光(オー)シリーズの応用で自分の位置を錯覚させて聞いたけど。あなたの答えは、あれだったから」  ピースは残念そうな顔をしていた。 「弾を他から得たり、燃やしたり、凍らせたりすることだけが重力魔法の真骨頂ではないのよ」 「え?」  ピースの言葉にZ氏は嫌な予感した。そもそも、彼女はどうして自分の頭上に浮かんでいるのか。いったい、どんな魔法で自分を倒そうというのか。 「重力魔法の真骨頂。それは、『重力』そのものよ」  それがピースの返答であり、Z氏に対する裁きでもあった。創造主になり、好き勝手に命を弄り倒した彼女に対する。 「“圧縮する世界(プレス)”」  Z氏に向けて砲口から魔法の弾が撃ち出された。いつもなら、その弾は少し進んだ所で効果を発動するのだが、効果は打ち出された直後に発動さられた。
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