4.自由を求めて

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「ぐあっ!」  突然、Z氏が悲鳴を上げて膝を着いた。膝をついただけではない全身が地面に押しつけられた。まるで、全身に重りをつけられたかのように。“スローダウン”の魔法だろうか。いや、重力を上げて相手の動きを鈍足にする“スローダウン”とは比べものにならない。全身に強い重力を浴びせられてもある程度、動くことはできる。だが、この魔法は身動き一つとることができなかった。 「ど、どうなっ・・・」  圧迫感が喉にもかかりZ氏はうまく言葉を発することができなくなっていた。口をパクパクと動かし、悶絶する。そして、自分の身体が更に地面へと食い込んだ。まだ、重力が上がるというのか。  ミシミシと全身の骨にヒビが入る音が不気味に聞こえた。口を開けば、それだけで顎が外れそうになる。  押しつぶされる中、Z氏はピースが言っていた『真骨頂』の意味をやっと理解した。  重力魔法の真骨頂はピースが言うように、重力に違いない。そして、重力から派生する魔法は引力と斥力に大分される。この魔法は、引力を極めたことによる魔法なのだ。自分を含め周囲を重くする。それこそ、押しつぶすほどに。単純であるが、どんな守りも通じない究極の攻撃方法であった。 「があああああ!」  Z氏は大きな絶叫を上げると同時に意識を失った。死ぬことはなくとも、当分の間はまともに動けないだろう。そして、せっかく手に入れたインストロ・Q(クイーン)・アストラの力を失った。
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