5.作家としてできること

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「お前か?」 「え?」 「お前か?オレ様の宝を奪おうとしているのは・・・!バラキヤ!」  トコリコは素っ裸のまま左腕の腕輪を変化させチャージガンにすると、銃口をP博士に向ける。 「お、おい!何を勘違いしているんだ!宝を奪うって・・・」  目覚めたばかりのトコリコは自分も含め、周りの状況を理解できていなかった。目の前にいた、かつてのライバルをトコリコは敵として見てしまっていた。  行動派の自分に対し、彼は頭脳派。そもそも、腐れ縁であり、犬猿の仲といった関係であった。だから、P博士がバラキヤに成りすまし親しくしたところで、トコリコは何一つ関係のないことだ。  そして、P博士はもう一つ、勘違いしていたことがあった。トコリコは確かに、バラキヤを苦手としていたが、それは相性の関係性であるだけで、絶対に勝てないという訳ではないということだ。  P博士もバラキヤとして振る舞ったところで、トコリコを騙しきれないと悟った。 「そんなに、厳しい顔をするな、トコリコ。別に私は狙っては・・・いないから」  クリティカを構えるとP博士は躊躇いもなくレバーを引き光線を打ち出す。目覚めたばかりのトコリコなら少しは動作が遅れているだろう。そう見越していた。一発でも当たれば、彼の金環ごと殺すことができる。それさえなくれば、彼はただの人間なのだから。 「チャージ×ミラー」  クリティカのレバーが引かれると同時に、トコリコはチャージガンから弾を撃ち出した。ただし、それは普通の弾と形状が違っていた。弾頭が流線型ではなく、むしろ、その逆、凹んだ型をしていた。そして、溜めていたせいか随分と大きな弾であった。だが、それを撃ちだしたところで、どうなるというのか。クリティカの光線は分子の結合を分解する働きがあるのだ。どんな弾であれ、物質であるからには分解されるしかない。 「お前、バラキヤじゃないな?」  トコリコはミラー弾を前にして微動だにしないP博士を見て聞く。何故、偽者だと分かったのか。P博士が疑問を抱くが、同時に答えが返ってきた。それは、文字通り放たれた光線がミラー弾に反射し、クリティカを消し去るという光景。
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