message in a bottle

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 海岸の漂着物の中にペットボトルを見つけた。ハングル文字が書いてある。日本かその近隣の国であることは間違いなさそうだ。男は考えた末、青草から集めることにした。葉っぱを寄せ集めて、漂着していたペットボトルに詰め、太陽の下に置く。こうすれば、植物が呼吸し、内部に水滴が溜まるかもしれない。  もう少し体力が回復したら、食べ物を探しに行かなくては。人というものはたくましいもので、極限に置かれれば、なんとか生きる道を探すものだ。そうは思いつつも、早く救難の手を差し伸べてくれるのを、ひたすら海を見つめて待ち続けた。  一夜明けた。猛烈に喉がかわいてほぼ眠れなかった。ペットボトルの底にわずかに溜まった水で渇きを潤す。全然足りない。ノロノロと起き上がると、森の中を水を求めて彷徨った。朝の早いうちだったので、朝露を少し舐めることができ、季節がよかったのか、ヘビイチゴにありつけた。男は夢中になってそれを摘んで食べた。あまり舌触りは良くなかったが、空腹の男にとってはご馳走だった。  しばらく歩くと、湧き水が染み出ているところを見つけた。男はそれを根気よく集め、さすがに泥交じりの水は飲めないので、様々な大きさの石を使って簡易の濾過装置を作って、その水を飲んだ。記憶は失っているが、こういうサバイバル術はなんとなく知っているので、過去に何かで情報を得たのかもしれない。     
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